元三大師像とは?
鎌倉時代に遡る、厄除けの本尊です。通常、人物のお像は等身大に造られることが多い中、2 メートルもある巨像で大変珍しいお像です。
元寇の際、異国調伏の本尊として国家レベルで造られた可能性があります。また、江戸時代には元三大師信仰が盛んに行われ、深大寺も参詣者で賑わっていました。今もなお、篤い信仰を集めています。

令和2年に東京都指定文化財となりました。
令和の大修理
3年にわたる修理を奈良国立博物館内にある文化財保存修理所の美術院工房で行いました。
元三大師像は、秘仏であるため厨子内に立ち入ることが難しく、容易に点検できないため痛ましいお姿でしたが、今回の修理で構造も強化され、未来に受け継ぐことが可能となりました。
また、修理によって新たな発見もありました。なお、今回の修理では東京都の補助金と(公財) 朝日新聞文化財団の助成金を受けることができ、多くの皆様の合力によって事業を遂行できました。
*修理中・奈良国立博物館展示中は元三大師像の胎内仏である「鬼大師像」をお身代わりとして、大師堂内に安置しています。

見どころは?
ぜひ、2 メートルの大きさを実感してください。目を見開き、唇が分厚く、力強い厄除けの本尊としての迫力は圧巻です。
美術館、博物館では感じられない、お寺ならではの神秘的なお姿が魅力です。お像本体の大きさもさることながら、持物(手に持っている数珠と密教法具) の大きさにも注目してください。

関西にお住まいの方に朗報!!
修理が完了した元三大師像は、奈良国立博物館のなら仏像館で下記の期間展示されています。
―日本最大の肖像彫刻―
期間 | 2025 年1 月15 日(水)〜3 月16 日(日) |
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場所 | 奈良国立博物館 なら仏像館第8室 |
詳細は奈良国立博物館のHPをご覧下さい。
元三大師さま

元三大師さま(九一二~九八五)は、平安時代に実在した比叡山の高僧であり、荒廃していた比叡山諸堂の復興など数多くの功績を上げられたことから比叡山の中興の祖として崇められております。
また、今も全国のお寺や神社で引かれている、おみくじの創始者としても有名です。
良源というのが生前の名でありますが、元月三日(一月三日)に入滅されたことから、元三大師の通称で広く親しまれており、生前に人並みはずれた霊力と様々な姿に変じて人々を救ったという言い伝えが今でも伝承されています。
魔除けのおふだ ―降魔札―

平安の昔、元三大師さまが鬼の姿となり疫病神を退散したときの姿を写し取ったもので、「角大師」などと呼ばれます。このお姿を刷った「おふだ」は、魔除けとして知られ、特に江戸時代以降、日本中の家々の入口に貼られてきました。
江戸時代の川柳には、「門松に かくれ顔なり 角大師 」とあり、家々の門松の背後にこの「おふだ」が貼られていた様子がよくわかります。
※お札(おふだ)は授与所でお授けしております。
おみくじの元祖

我が国の「おみくじ」の創始者は、元三大師さまです。今も全国のお寺や神社でこの「おみくじ」は引かれていますが、寺社によっては「吉」を引きやすくするため「凶」の「おみくじ」を抜き取っている場合もあるようです。
深大寺の「おみくじ」は古来のままなので、凶が多いことで有名です。しかし「凶」は「吉」に好転する力を秘めています。日本屈指の元三大師寺院である深大寺で「おみくじ」を引くことは、まことに意味があるのです。